いつも思い出す教訓のひとつに、私が最初に勤めた出版社で教わったことがあります。飲食店向けの専門雑誌を出していた会社の先輩編集者に教わったのは、「店の外観、たたずまいには、中身が滲み出ている」ということ。取材するに値する飲食店を探すのが仕事だったある日、先輩は言いました。「店の様子がよいと思って入っても、中身がよくない店がある。となれば、たたずまいが悪ければ中身がよいはずはない、だから注意深く外観から店の様子を観察すれば、必ずよい店かどうかのヒントが得られる」。
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紅顔の新米編集者だった当時から20年が経ちましたが、私は今でもその教えを実践しています。すなわち、まずお店の外観、場合によっては内装やディスプレイ、清潔さや働いている人の接客をまずよく見ることで、その店なり、会社なりが提供する中身を推測するのです。そして、その推測は多くの場合、当たります。何が言いたいかといえば、インターネットが普及した時代とはいえ、人間はやはりそうした肌感覚というか、自分の目で見たり話したりする直接の感覚で判断してモノを手に入れたい、または病院や医師を選びたいと思うのではないでしょうか。家を買う、設計を頼むときもまずそうした自分の感覚で判断するために下見をしたい。その会社で働く人や社長の人間力を見たり、試したりしたくて、展示場に行くのではないでしょうか。下見ができないと、結局はアプローチを諦めてしまう。そういう人が少なくない気がします。話が長くなりましたが、だから設計事務所や地域の工務店も、下見しやすいショップというかたちを取るのが敷居を低くするひとつの方法だといいたかったのです。